ビジネス・パーソンのための信頼構築講座 第15回「信頼されるリーダーの13の行動」(3)透明性を高める

今回は「信頼されるリーダーの13の行動」の3番目、「透明性を高める」です。

それでは初めに、あなたの現状を評価してみましょう。あなたが、常に透明性の高い言動をしていれば10点、逆の行動や偽りの行動が多ければ多いほど0点に近くなります。自分の言動を振り返って、点数をつけてください。

行動

逆の行動、偽りの行動

現在の成績

透明性を高める

  • 情報を抱え込む
  • 秘密をつくる
  • 幻想を生み出す、ふりをする

/10点

「透明性を高める」とは

つい最近、信頼を築く上で、「透明性を高める」ことがどれほど重要なのかを示す事件が世間を賑わせました。某精密機器メーカーが、法外な金額で企業を買収したと見せかけて、財テクの失敗で生じた損失の穴埋めをしていたというものです。

その企業は、何年にもわたって損失を隠し続けるという企業としての透明性を持っていなかっただけでなく、それが発覚しそうになっても買収は適正であったと主張し続けていました。事件の真実が明らかになるにつれて、一部の関係者だけが情報を抱え込んでいたことや、その場を取り繕うために嘘を重ねていたことが判明し、その結果として、株価は暴落し、株主の不信と怒りは訴訟という形になり、会社の存続すら危うい状況になってしまいました。損失が発生したときに正直に申告していれば、これほど多額の「相続税」を支払うことにはならなかったことを思うと、透明性と信頼の関係がおわかりになるでしょう。

「透明性を高める」とは、オープンにやるということです。偽らず、人々が確認できるような形で真実を話すことともいえます。そして、透明性を高める行動は、正直、率直、誠実、そして信憑性の原則に基づいています。

「透明性を高める」の逆の行動は、隠すこと、覆うこと、曖昧にすること、あるいは闇をつくることです。心にしまうこと、抑え込むこと、秘密を持つこと、開示しないことなどがこれに当たります。

透明性は信頼を迅速に構築する

透明性は、高信頼組織に欠かせない価値として、ますます認識されつつあります。監査法人大手のプライスウォーターハウスクーパーズによれば、「透明性の精神」は社会的信頼を回復するための最初の鍵だといいます。透明性は失った信頼を短期間で確立するために欠かせないものです。

先ほどの精密機器メーカーが信頼を回復する鍵は、まず事件の全容を包み隠さず明らかにして透明性を高めることに他なりません。まだ隠していることがあるのではないか、何か思惑があるのではないか、と感じている消費者や株主から再び信頼してもらうには、期待されている以上の情報を開示して、透明性を高める努力を示すことが唯一の道かもしれません。それができなければ、信頼を回復することができないか、回復するまでに膨大なコストと時間をかけることになるでしょう。

信頼を高めるヒント

「透明性を高める」という行動をグラフに当てはめてみると、曲線の左側(透明性が不足している)は、正直や勇気の欠如、隠された思惑、透明性の重要性を認めて高める信頼力の欠如などに原因があります。逆に、右側の度を過ぎた行動は、謙虚、相互利益の思惑、信頼力とリーダーシップ・スキル、成り行きに対する適切な定義と敏感さのどれか、あるいは複数が欠如していることによります。

「グラフの最適化の鍵は、それぞれの行動を『信頼性の4つの核』の最も高いレベルで組み合わせることだ」とスティーブン・M・R・コヴィーはいいます。そうすることにより、行動を応用する判断力が最大化されて、信頼関係を支配する原則と調和するようになるのです。それでは、「信頼を高める」のに役立つ点を、具体的に紹介しましょう。

  • 職場や家庭で、自分は共有すべき情報を抱え込んでしまってはいないか、自問してみよう。もしそうであるなら、それはなぜだろう。その結果、支払っているかもしれない税金、そして透明性を高めれば得られるかもしれない配当について考えることだ。
  • あなたが職場のリーダーの立場にあるなら、あなたの組織はさまざまな利害関係者に対する透明性はどの程度か考えてみよう。さらに個々の状況について、もっと透明性が高かったらどんな違いが生じるだろうか。透明性、そして引いては信頼配当を適切に高める方法を見つけ出す努力をしよう。
  • 配偶者やパートナーなどとお金の管理を共有している場合、あなたは透明性をどの程度確保しているだろうか。離婚の主な理由に金銭問題を挙げる人が今なお多いことを忘れないでほしい。金銭面の優先事項、意思決定や支出に関して透明性が高くないとしたら、それはなぜなのか考えてみよう。「信頼性の4つの核」を強化すると、行動やパートナーとの関係における透明性を高められるばかりか、統一的手法に向けて努力する能力も向上するはずだ。

まとめ

「透明性を高める」とは、人が確認できるような形で真実を話すこと。現実にしっかり目を向け、オープンな態度で信憑性を高める。開示はやりすぎるくらいのほうがよい。

根底にある原則は正直、率直、誠実、信憑性である。

逆の行動は、隠すこと、抑え込むこと、曖昧にすること。

偽りの行動は、透明性を高めるふりをすること、物事を本当の姿とは異なるように見せようとする。

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