今回は実際にミッション・ステートメントを作成してみましょう。
その前に、もうひとつあなたに質問です。
「あなたは今、余命1年と医師に宣告されました。その1年を最も有効に使うために、あなたは何をしますか?」
人は限りのある人生を生きているわけですが、ある程度健康に恵まれていれば、日常生活の中でタイムリミットを切実に感じながら過ごすことはあまりありません。しかし、漠然と続くと考えていた自分の人生が残り1年に限定されたとしたら、あなたは何をしようとするのでしょうか?
きっと、家族のために何かをしようと考えるのではありませんか? それとも今抱えているビックプロジェクトを必ず成功へと導きたいと思うのでしょうか? あるいは、残された時間の中で世界中の恵まれない人たちに対してできることをやりたいと考えるかもしれません。もしかしたら、毎日心の底から笑いたい。と切望するのかもしれません。
とにかく、1年という限られた時間の中であなたが「これだけは、やっておきたい」と思うことを挙げてください。もちろん、あなたがやりたいことの中にはとても1年では物理的にやり遂げられないこともあるでしょう。1年間でできることを考えてください。あなたには1年間しか残されていないのです。
2003年に、『死ぬまでにしたい10のこと』という映画が日本でも上映されました。ストーリーは、失業中の夫と二人の娘と暮らす23歳の主人公が余命2ヵ月と宣告され、「死ぬまでしたいことリスト」を作り、実践していくというもの。そのリストはこんな感じです。
- 娘たちに毎日「愛してる」と言う
- 家族でビーチに行く
- 刑務所にいるパパに会いに行く
- 娘たちが18歳になるまで、毎年贈る誕生日のメッセージを録音する etc.
こんな風に1年で必ずやり遂げたいこと、したいことを挙げてください。
余命1年の間に必ずやりたいことというのは、今すぐにでもできるのに行動していないこと、あなたが日ごろからやりたいと思っている、本当に大切なことが見えてくるはずです。
では、ミッションの作成に取りかかりましょう。まず下書きとして書き留めてみます。
あなたは、ここまでにいろんな角度から、あなたの心の中にある「方向」を探ってきました。あなたにはすでにミッション・ステートメントを書く準備ができているといってもいいでしょう。
もうすでに、頭の中ではできているかもしれません。
もう一度前回の質問に対する答えや、「余命1年でやりたいこと」を見直してみましょう。どんなことが書いてありますか。あなたに響いてくるフレーズや言葉はありますか?
あったら、そういった言葉に丸をつけ、アンダーラインを引き、じっくり見てください。
それでは、あなたのミッション・ステートメントの下書きをしてみましょう。あまり硬くならずに、練習だと思って書いてください。これから5分間で、手を止めずに、今頭の中にあるものを全部書き出してみましょう。
そのあとにじっくりとブラッシュアップすればいいのですから、好きな言葉、好きなフレーズ、大切な人、思いついたことを書き連ねてみましょう。
次に、書き出したものは、少なくとも1週間は持ち歩いてみましょう。その1週間で気がついたこと、新たに気がついたことをまたさらに書き加えます。その後はできれば定期的にこの作業を繰り返してみましょう。
ミッション・ステートメントは、書いたら、額に入れて飾っておくものではありません。常に触れて見て考える場所に置いておき、毎日の生活に取り入れてください。
実際に書かれたミッション・ステートメントを紹介しましょう。参考にしてみてください。
ある男性のミッション・ステートメント
- 自分に対しても他人に対しても正直になる
- 人生の目的を達成するために、支え合い、励まし合う場をつくる
- 1人ひとりの個性と才能を尊重する
- 社会に貢献する活動を行う
- 人生の宝物を見つけ、それを手に入れる
ある女性のミッション・ステートメント
- 心の安らぎと帰属意識の感じられる家族をつくる
- 未知の可能性を引き出せるよう互いに助け合う家族にしたい
- いつも知的に、肉体的に、社会的に、情緒的に、成長することを願う人でありたい
- あらゆる命を大切にし、環境を守る人でありたい
- さまざまな人種や文化の多様性を重んじる人でいたい
あるビジネス・パーソンのミッション・ステートメント
- 私は仕事を通して、自分の存在価値を高めたい。常に学び、前進し、一歩ずつ成長したい。そのためには、どんなに成功しうまくいっても、謙虚さと初心を忘れずに取り組む。そして、他人の成功を支えたい。あらゆる人の協力と信頼関係を作り上げ、仕事にかかわった人が達成感を味わい、成長を実感するような仕事をしたい。
ある男性のミッション・ステートメント
- 私は何があっても挑戦を続ける。チャレンジのない人生など面白みも楽しみもない。そして人生を大いに楽しむ。苦労しただけそのあとの幸福は大きくなると私は信じる。
- 私は何があっても家族を守る。家族を守ることは義務であり責任であり、私が生まれた場所であり、死んでいく場所でもある。