古典に学ぶタイム・マネジメント  第2回 チェスターフィールドに学ぶ

一分を笑うものは、一分、いや一秒に泣くのだ。だから、十分でも十五分でもおろそかにしないように。十分や十五分だからといっておろそかにしていると、一日に何時間も無駄にすることになる。それが、一年分たまると、それはもう、ちょっとどころではない。相当な時間になる。
―中略
世の中には、だらだらと時を過ごす人が大勢いる。大きな椅子にもたれてあくびでもしながら、「何かを始めるには、ちょっと時間が足りないし……」などと、のたまう。けれど実際に時間が空いても、こういう人は何かを始めることなどない。結局、何もしないで時は過ぎ去っていく。気の毒な性格という以外ない。たぶんこういう人は、勉強でも仕事でも大成することはないだろう。

今回の“古典に学ぶタイムマネジメント”はイギリスの政治家で文人のフィリップ・チェスターフィールド卿の言葉を紹介します。彼はケンブリッジ大学で学んだ後、若くして国会議員に選ばれ、幅広い知識とすぐれた弁活で活躍しました1694年生まれ、1773年没ですから、約300年前の人ということになります。
そして前述の言葉は、彼の息子:フィリップ・スタナッフが海外旅行中に、手紙で受け取ったものです。当時は貴族が社会に出る前に、武者修行としてヨーロッパ全土を旅するという習慣があったそうです。その際、チェスターフィールドは頻繁に人生教訓を息子に、手紙で送りました。

スタナッフが海外旅行中の頃のイギリスは、商業が中心で、外国との条約を結ばず戦争をせず、大国フランスとの調和を第一とし、経済活動によって余った財産はほとんど経済発展につぎ込まれていたようです。ジェームス・ワットの蒸気機関発明は1785年ですから、着々と産業革命の足音が近づいていたころだといえます。

いわば、現在の日本のような状況の中、なにひとつ不自由なく、裕福な環境に生まれたスタナッフに向けて、これからの「生き方」についての手紙を書きます。

すべての人に対し平等に与えられた資源である時間をいかに使うか。それは、現代社会の私たちに与えられた、永遠の命題であるのかもしれません。

「一分を笑うものは、一分、いや一秒に泣くのだ」という言葉には、チェスターフィールド自身が、どんな時間でも無駄にはせず、自分自身の学びにしていきました。「朝は本に学び、夜はともに学ぶ」という言葉からも、その姿勢をうかがい知ることができます。また、「ちょっと時間が足りない」ことを言い訳にしているようでは、「勉強でも仕事でも大成することはない」とも言っており、今与えられた時間がどのくらいであろうと、学ぶ方法はあるとも言っています。

最後に彼が残した言葉をもうひとつ紹介しましょう。だらけてしまいそうなときには、この言葉を思い出すと、やる気が出るかもしれません。

何事も、やるからには一所懸命やらなくてはならない。中途半端にするくらいなら、しないほうがずっと良い。

『わが息子よ、君はどう生きるか』(チェスターフィールド著、竹内 均訳、三笠書房)より

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