古典に学ぶタイム・マネジメント 第45回 アルバート・アインシュタインに学ぶ

アルバート・アインシュタイン(1879-1955)と聞くと、皆さんはどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。さまざまな理論を提唱し、多くの業績を残した偉大な物理学者として知られる半面、独特の行動様式によって「浮世離れした天才」の代名詞としてもよく引き合いに出されるのが、このアインシュタインという人物です。しかし彼の業績や発言、随筆を調べてみると、現代でいう原則中心の考えを持っていたことがわかります。

●何も制御できない

いっさいのものが……私たちには制御できないもろもろの力で決まっている。昆虫についても、星についても決まっている。人間も、野菜も、宇宙の塵も、すべて神秘的な旋律に合わせて踊っている。見えない笛吹きが、かなたで奏でる旋律に。

常識を覆すさまざまな理論を提唱、証明し、1921年にはノーベル物理学賞を受賞するなど、その業績は大いに評価されていたアインシュタイン。にもかかわらず、受賞数年後に受けた新聞社のインタビューで、彼は上記のように答えているのです。何もかも制御できるものはない、と。

コヴィー博士の著書『7つの習慣 成功には原則があった!』(キングベアー出版)では、「原則」というものが非常に重視されていますが、アインシュタインのいう「私たちには制御できないもろもろの力」こそ、コヴィー博士が定義するところの原則そのものといっていいでしょう。
『7つの習慣』の中で、人間社会やビジネス社会にも、自然界と同様に原則が存在し、ものごとの結果はその原則の力に左右される、とコヴィー博士は語っています。さらに、「影響の輪」、すなわち自身がコントロールできることにのみにフォーカスすることの大切さについても、繰り返し述べています。
思い通りにいかなくて悩んでしまうようなときは、今一度、この「原則」を見つめ直してみてはいかがでしょう。決して変えることのできない原則、そして自分自身や周囲のパラダイムを再認識することで、何か見えてくるものがあるかもしれません。

●教育のあり方

事実を学ぶのはあまり重要ではない。そのために大学は必要ない。本から学べば良い。一般教養大学の教育の価値は、事実を数多く学ぶことではなく、教科書からは学べないことを考えるよう頭を鍛えることである。

これは1921年、アインシュタインによってなされた指摘です。現代の教育にも十分、当てはまる内容ではないでしょうか。当時と現代では、教育システムにもかなりの違いがあるはずです。それでも、決して変わることのない教育の本質というものがあり、それがアインシュタインにはよく見えていたのでしょう。彼には大いなる先見の明があったようです。

コヴィー博士は晩年、「7つの習慣」をベースにしたリーダーシップ教育を推し進めました。そして著書『子どもたちに「7つの習慣」を リーダーシップ教育が生み出した奇跡』(キングベアー出版)において、21世紀の新たな成功者とは「ただ知識を丸暗記したり受け売りで発言したりするのではなく、知識を最大限に生かし、創造的に扱える人」であると述べています。
知識を蓄えることはもちろん有用ですが、蓄えた知識をどのように活用するか、それが効果的な人生を歩む上で何よりも重要になるのはいうまでもありません。

(参考:『アインシュタインは語る』、林 一 訳、大月書店)

古典に学ぶタイムマネジメント

コヴィー博士の集中講義 原則中心タイム・マネジメント

グレート・キャリア 最高の仕事に出会い、 偉大な貢献をするために

「セルフ・リーダーシップ」で 時代を乗り切る!

ビジネス・パーソンのための ビジネス開発講座|『ヘルピング・クライアンツ・サクシード』に学ぶ、ソリューション開発の原則

ブレークスルー・トーク

アンケート結果に見る 「タイム・マネジメント」

スティーブン・R・コヴィー コラム